INTERVIEW

DIGITALJET が生まれた原点 〜「カッコ悪いこと」をしない〜

「デザインとプログラミングで、最大限の価値を提供する。」そんなキャッチコピーのもと、2011年、岡山県に誕生したDIGITALJET(以下 JET)は、たった数名のメンバーが、フルリモートで自由に働きながら、さまざまな企業におけるデジタルの中枢を担っている会社です。

通常、「モノづくり」といえば、「納品」だと思われがち。でもJETはちがう。JETの仕事は「最適なモノをつくり続ける」ことなのです。
「最適」とはなにか?
「つくり続ける」とは?

今まで、「自分たちのことをまったく語ってこなかった」というメンバーにさまざまな質問を投げかけていくと、JETが持っている哲学のようなものが見つかりました。

さまざまな働き方が存在する現代。読んだ人にとって、生き方、考え方、なんらかのヒントになれば幸いです。

設立時に決めた「これは、したくないよね」

インタビュー風景

大木:JETの成り立ちについて教えてください。もともと、能野さんと真崎さんのお二人で立ち上げたんでしたっけ?

真崎:もともと、能野と僕は同じ会社に勤めていたんですが、偶然、ふたりとも同じタイミングで退職を決めていました。そのとき「能野と真崎に仕事をお願いできませんか?」という依頼がたくさんあったんです。そこで、「じゃあ、ふたりで会社をやろう」という流れに。目的をもって集まったとか、カッコイイ感じじゃない…。流れのなかでできあがったのが、JETなんです。それがなかったら、転職活動をして、違う会社に入っていたと思います。

大木:「おふたりに依頼したい」って言ってもらえるって嬉しいですね。真崎さん、能野さんを、「いち会社の社員」ではなく「ひとりの人」として見てくれていたんですね。

能野:「ふたりがいる会社に、仕事を依頼したい」と言ってくれる方が多くて、うれしかったですね。やるなら本気でやろうということになり、2011年1月JETは2名体制の株式会社として設立されました。

大木:2人でやっていくってなかなかですよね…。ケンカとかなかったんですか?

真崎:ケンカはないですが、いつもいろんなことをブレストしてましたね。能野のお子さんからは「2人は仲が悪い」と心配されるぐらい(笑)、毎日真剣に話し込んでましたね。

能野:何も考えずに会社を作っちゃったので。認識合わせをしないといけないことが多くて、毎日いろんなことを語り合っていました。

大木:会社の方向性もふたりで話しながら決めていったんですか?

真崎:「これはしたくないよね」で決めたことが多かったです。「カッコ悪いことはしない」を基準に。「カッコ悪いとは何か」について、いつも話していました。

大木:「カッコ悪いことはしない」かぁ、、、例えばどういうことですか。

能野:はっきりと覚えているのはふたつ・・・。ひとつめは「JETを経営することで人間関係が壊れるなら、すぐにJETを解散しよう」と。僕らはせっかくの親友なのに、それが壊れるくらいなら、会社を潰そう、と。ふたつめは、一緒に働きたい人がいたら「JETは最高だからおいでよ!」って心から言える会社にしよう、と。「本当はおすすめできないんだけどなぁ」って心の中で思いながら、雇用する会社にはなりたくなかった。

真崎:あと、「筋の通らないことはしない」。僕はエンジニアなので、「ここはどうなってるの?」「ちょっとおかしいんじゃない」って理詰めしちゃうんです。「やりたいから」という勢いだけで始めることもできるけれど、筋を通したいんですよね。「なるほどね〜」がない限りは、やるべきではないと思うんです。そして「透明性」を持つこと。会社って、すごくクローズドな場所だと思うので、メンバーにはすべての情報を開示しようと。

「この人と仕事をしたい」で、仲間を増やす

インタビュー風景

大木:「カッコ悪いことはしない」かぁ、、、なんかかっこいいですね。それからしばらく2人で会社を続けて、栩平さんをスカウトしたんですよね?仕事が忙しくなったからスカウトしたんですか?

真崎:いえ。「仕事のために人を雇う」という発想はなかったですね。僕たちは「この人と働きたい」と思って声をかけるスタイルで採用をしています。ネガティブな言い方をすると、人を仕事のために雇うのは「搾取」だと思っているんですよね。

大木:その考え方、まあまあ独特ですよね(笑)普通、仕事をまわすために人を補いますよね?

真崎:「仕事があるから人を雇う」というスタイルは、僕たちにとって「カッコ悪い」んです。そうやってお金を儲けたくないなーって思ってます。「忙しいから仲間を探す」というやり方はしたくなかった。

能野:栩平に声をかけた時、会社の稼ぎとしては2人分しかなかったから一人増えると、きついのは分かっていました(笑)でも、仕事ベースでは呼んでなくて、栩平が来たらいいことありそうだな~って。

大木:栩平さんは、どんな感じで誘われたんですか?

栩平:僕は、2011年3月に自分で会社をつくっていたんです。内容は、WEB制作とiOS開発だからJETと業種が似てるんですよね。2人とは以前からよく遊んでいて、気も合うし、業種も似てるし、たまたま家も近いし、「一緒にやった方がいいんじゃない?」って思ってたけど、僕は1人、向こうは2人。2対1じゃないですか(笑)だから、僕からはなかなか声がかけられなかった。

ある日、友達と一緒に遊んでいて、2号線沿いで昼飯を食べてたときに、能野が声を掛けてくれたんです。「栩平、うち入る?」って。「なら、入る!」ってすぐ返事しました。それが2013年のことですね。

大木:えーー!すごっ。軽っ!普通、自分で会社をしていたらプライドがあるじゃないですか。抵抗はなかったんですか?

栩平:ないです!僕は「楽しい仲間と楽しく仕事をしたい」。その1点だけでしたね。そのためには箱が必要だから、会社を作っていたわけです。それは、必ずしも僕の会社じゃなくてもよかったんです。

大木:つくづく…JETって珍しい考え方の持ち主ばっかりですね。

最初から決めていた「給料はみんな一緒」

インタビュー風景

栩平:僕は22歳のときに「起業しよう」と決めて、少しずつ準備をしてから起業したんですね。起業するなら、プログラミング、経営、営業、デザインもできないといけないって思って、全部やりました。社長の下について経営も学んだり…。そうやって起業して感じたのは、「ひとりで全部やるのは無理だ」ってことでした。全部やってみたけれど、どこも中途半端だったんです。JETに入ったら、苦手なところは能野と真崎に任せればいい。自分の会社を辞めることに迷いはなかったですね。

能野:僕も、唐突に誘ったわけではなく、真崎と日頃から「誘ってみるー?」って話していました。「栩平が来たら、たぶんいいことになるだろうな〜」って。だから、「栩平がやりたいように進めればいい」って話していました。

栩平:そう言ってもらったんで遠慮なく、「じゃあ、給料はみんな一緒ね」って言いました。あとから入ってきたくせに、「おまえらと一緒ね」って(笑)

大木:えーーー!!マジですか(笑)やるなぁー。

栩平:昔から、「会社のメンバー全員で稼いで全員で山分けする会社構造が良いな」って思っていたんです。だから、起業した時もメンバーを雇うなら、自分と給料は同じがいいなって思っていました。つまり、スキルは自分と一緒か、自分よりスキルが高い人と一緒に仕事をしたいし、その方が切磋琢磨できて楽しいなーって思ってたんです。

給料が一緒ということは、「リスクも一緒に負うよ」という意味でもあるんです。万が一、売り上げが0になって2〜3ヶ月給料が払えなくても、一緒にどうにかしようという意思表示でもある。

大木:すげー。かっこいいな・・・。

栩平:すごいとは思っていないんですよ(笑)。「そっちの方が幸せになれるだろうな」って思っているだけです。会社ってどうしても、「隠すこと」で権力を持っちゃうから。隠す構造にすると、一部の人だけが儲かっていいのかもしれないけど、基本的には透明で隠し事はない方がいいですよね。「俺、あいつより仕事しているのに給料が少ないな」とか、そういう事考えたくないし、めんどくさいじゃないですか。ただ、楽しく仕事をすることだけを考えたかったんです。

大木:最初から「カッコ悪い」の認識が、JETのお二人とも一緒だったってことですね。そして次のメンバー、古里さんが入社してくるのですよね。

決め手はやっぱり「人柄」

インタビュー風景

大木:古里さんは、いつ入社されたんですか?

古里:2019年の1月ですね。栩平が入ってから6年後です。

大木:この時もまた、「仕事があるから、古里さん呼ぼう」というスタンスではなかったんですよね?

能野:はい。3人分は稼げてるけれど、古里がやる仕事はない(笑)!でも誘いたい。稼ぎのことはあとから考えよう!って感じでした。

大木:古里さんと3人はどうやって知り合ったんですか?

古里:2012年頃、IT系の勉強会で知り合いました。そのうち栩平とは「JAWS-UG(Japan Amazon Web Services - User Group)」というコミュニティーの運営メンバーをやったりして。お互いに人柄や考え方を知ってる関係でした。当時、僕はほかの会社でエンジニアをしていたんですが、1年ぐらいかけて「JETに入らない?」「一緒にやってみない?」って言ってくれてました。

大木:JETとしては、なんで古里さんに目をつけてたんですか?

真崎:古里の雰囲気だったり、コミュニティ運営の仕方がいいなーって、JETと相性が良さそうと思ってました。3人でいつも、「古里をJETに誘いたいねー」って話をしてました。決め手はやっぱり、人柄なのかなぁ〜。僕らは「一緒に仕事をしたい人」を探していたんです。そこに古里が該当した感じです。

古里:ずっと誘ってもらっていたし、勤めていた会社も大きい節目のようなタイミングでしたので「今だ」と思って、入社を決めました。

真崎:古里には、JET以外の選択肢もあったんだよね。

古里:実は2017年ぐらいから、転職活動はほそぼそとしていたんです。他にも雇ってくれそうな会社はあったけれど、「JETの思想的な部分に共感できるな〜、その考え方は他の会社でないな〜」って思って、JETを選びました。

大木:思想が共有できるって、素晴らしいですね。それだけ、会社のアイデンティティがはっきりしてるってことですよね。

古里:正直、JETの思想は万人ウケしないと思うんです。ただ、自分にはその思想が合っているって思えたんですよね。いろんな会社を経験してきていて「雇われて仕事をする」ということに少し違和感があって。かといって、個人で起業する厳しさもそれなりに知ってる。JETは、そこがすごくバランスのとれた会社だったんです。個々が独立して、肩を預けながら仕事している感じ。

大木:私、古里さんとは、WordCampOgijimaの運営委員で知り合って、ものすごーーーく仕事ができて、それでいて懐が深いことも知っていたので。そういう人が入る会社ってどんなんだろう?って興味を持っていたんです。なんだか今回お話を聞いて、「あぁ、そういうことか!」って気がつくことができました。

▼まとめ

仕事における「カッコよさ」って何だろう。

スピード感やセンスのよさ、ビジネス的観点や的確さ…

いろんな「カッコよさ」があると思うけれど、私は、JETの4人が持つ「思想」のカッコよさを感じずにはいられませんでした。

考え方が速い。時代の最先端を見据えている。それでいて、やさしい視点も持っている。

そんな不思議な魅力を持ったJETの思想・・・。まだまだ語り尽くせない魅力を、次回も掘り下げていこうと思います。


せいかつ編集室 大木春菜

取材・執筆: せいかつ編集室 大木春菜

愛媛県在住の「ファンづくり」に特化した編集者・ライター。ブランディングマガジン「せいかつクリエイト」主宰。

撮影: リリー フォト 徳丸 哲也